海外への転勤や移住が決まった際、多くの投資家が直面するのが「日本の証券口座をどうするか」という問題です。
2024年から新NISAが始まり、資産運用がより身近になった今、「放置して海外に行くとどうなるのか?」「新NISAの非課税枠はどう維持するのか?」といった最新のルールを、専門的な視点で分かりやすく解説します。
日本の証券口座は「原則、維持できない」と考えよう
結論から言うと、日本のほとんどの証券会社は「日本国内に居住していること」を利用条件としています。
出国して「非居住者(一般的に1年以上の海外滞在)」になると、以下の制約が発生します。
- 新規の買付が不可: 新しく株や投資信託を買うことはできません。
- 口座の凍結・制限: 多くのネット証券では「売却のみ可能」な状態か、最悪の場合は「全売却・口座解約」を求められます。
- 特定口座の廃止: 非居住者は「特定口座(源泉徴収あり)」を維持できず、一般口座へ払い出されるのが一般的です。
【重要】新NISAを最長5年維持する「継続適用届出」
2023年の税制改正により、新NISAでも最長5年間は口座を維持できるようになりました。ただし、これには「出国前の手続き」が絶対条件です。
手続きの流れ
- 「非課税口座継続適用届出書」を証券会社に提出する。
- 要件:仕事の都合(海外赴任)などで一時的に出国し、5年以内に帰国する予定があること。
- メリット:出国前に保有していた商品を、非課税のまま持ち続けられる。
注意点(ここが落とし穴!)
- 新規投資はできない: 海外滞在中に新しく新NISA枠で投資することはできません。
- 5年を超えると課税口座へ: 5年以内に帰国届を出さない場合、NISA口座内の資産は強制的に課税口座(一般口座)へ移されます。
- 証券会社によって対応が異なる: 法律上は可能でも、システム対応していない証券会社もあります。
主要ネット証券の対応比較(2025年時点)
2024年の新NISA開始に伴い、各社の対応が明確化されています。
| 証券会社 | 口座維持の可否 | 備考 |
| SBI証券 | 条件付きで可能 | 継続適用届出書の提出が必要。維持手数料は無料。 |
| 楽天証券 | 条件付きで可能 | 常任代理人の選任が必要な場合あり。売却のみ可能。 |
| マネックス証券 | 原則、解約 | 以前より厳しくなり、非居住者は口座解約が基本。 |
| 野村證券 | 可能(要手続き) | 大手対面証券は常任代理人制度が充実しており、維持しやすい。 |
海外移住後に「日本の証券口座」は新しく作れるか?
答えは「NO」です。
海外在住後に日本の証券口座を開設しようとしても、マイナンバーカードによる本人確認や住所確認ができないため、審査に通りません。もし「住所を実家のままにして隠して開設」しても、ログインIPアドレスなどで発覚した場合、即座に口座凍結・強制解約のリスクがあります。
海外在住者が選ぶべき「第3の選択肢」
日本での運用が制限される間、資産を遊ばせないための代替案です。
- 現地の証券口座: 居住国の証券会社(米国ならCharles Schwabなど)を開設。現地の税制優遇(401k等)を受けられます。
- インターナショナル口座(インタラクティブ・ブローカーズなど): 世界中の投資家向けにサービスを展開している証券会社。日本帰国後も口座を維持できる「ポータブル」な運用が可能です。
- プラットフォーム口座: 記事の冒頭で触れたような、海外在住者向けの資産運用コンサルティングサービスを利用する。
まとめ:出国3ヶ月前には動こう!
海外移住は「お金の整理」が最も大変です。
- まず利用中の証券会社の公式サイトで「非居住者」と検索する。
- 売却して現金化するか、維持手続きをするか決める。
- マイナンバーカードが有効なうちに、必要な書類(届出書)を取り寄せる。
「黙っていればバレないだろう」という放置が一番危険です。帰国後にスムーズに資産を戻せるよう、正しく手続きを行いましょう。
⚠️ ご注意:必ず最新情報の確認をお願いします
本記事の内容は、公開時点での税制や各証券会社の規定に基づき作成しています。しかし、金融規制や各社の対応方針は頻繁に変更されるため、以下の点にご注意ください。
- 個別判断の前に確認を: 実際の手続きにあたっては、必ずご自身が利用されている証券会社の公式サイトを確認し、カスタマーサポートへ直接問い合わせるようにしてください。
- 居住国の法律: 滞在先の国(居住国)の法律によって、日本の証券口座を維持すること自体に制限がかかる場合もあります。
- 最終決定は自己責任で: 資産運用や口座の解約・維持に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行っていただくようお願いいたします。
「海外赴任 証券口座 [証券会社名]」 や 「国税庁 非居住者 NISA」 といったキーワードで、最新の公式ドキュメントをチェックすることをお忘れなく!


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